Japanese
English
特集 脳研究の進歩—東京大学脳研究所創立30周年記念
東京大学医学部脳研究所のあゆみ(1962〜1967)
Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, University of Tokyo: Report 1962 to 1967
武村 信義
1
N. Takemura
1
1東京大学医学部脳研究所
1Institute of Brain Research, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.495-512
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904524
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
東京大学医学部脳研究所は昭和11年3月16日開設され,以来30余年を経た。その創立は民間の1篤志家堀越久三郎氏の寄付金によつた。初代所長は当時精神医学教室の主任をしておられた三宅鉱一博士で,精神神経科の裏手に赤練瓦2階建,100坪の建物ができ,小川鼎三博士を主任とする第1部(解剖学を中心とした脳の生物学的研究部門)と吉益脩夫博士の指導の下におかれた第2部(医学心理学ならびに遺伝学部門)とが開設当時の脳研究所の構成であつた。やがて懸田克躬博土,ついで島薗安雄博士を中心とする第3部(脳波学)も発足し,解剖学,精神医学の各教室員はもちろん,生理学を学ぶ者や心理学者などが自由に研究に参加し,今日の脳研究所の各部門と相互の協力体制の基礎は実質的にはかなり早期に形成されたのである。
しかし脳研究所における研究の発展に伴い必要となつた専任の研究員の定員化や研究所体制の整備は,開設の翌年に始まつた日中戦争およびこれに引続く第2次世界大戦のためかなり遅延せざるをえなかつた。この時期に研究所を支え,重大な困難を克服してすぐれた業績をあげてこられた2代目所長内村祐之博士(当時精神医学教室主任,東大名誉教授,所長在位期間昭和17年5月〜同33年3月)以下先輩諸氏の努力は昭和28年に至つて結実した。すなわち,この年脳研究所は東京大学医学部付属研究施設として官制化されたのである。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.