特集 神経学における最近の研究
<臨床>
脳浮腫の発生病理
小林 啓志
1
,
植木 幸明
1
1新潟大学脳研究所脳神経外科
pp.876-877
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904970
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脳浮腫とは,脳に水分が異常に貯留することをいう。古くは,脳浮腫と脳腫脹とが病理学的に区別され,前者は細胞外に,後者は細胞内に水分が貯留するとされていた。しかし,微細構造学的および生化学的研究が進むにつれて両者の区別が困難かつ不適当とみなされてきた。近年,その臨床像より,急速に脳が腫脹し血管床の拡大などが注目される急性脳腫脹と比較的緩徐に腫脹する脳浮腫とに分けて考える場合が多い。この臨床的脳浮腫に類似性の大きい硬膜外圧迫法と凍結損傷法による実験的脳浮腫を中心に,われわれの教室で行なわれた一連の研究に基づいてその発生病理を検討してみたい。
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