今月の主題 意識障害への新しいアプローチ
治療のポイント
脳浮腫
藤島 正敏
1
1九大・第2内科
pp.50-51
発行日 1975年1月10日
Published Date 1975/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205735
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脳腫瘍,脳血管障害,外傷,低酸素血症,中毒,炎症などによって脳が一次的あるいは二次的に体積増加,膨化した状態が脳浮腫である.脳浮腫はさらに脳循環障害,脳幹部圧迫,脳ヘルニアなどを招来し,神経細胞の不可逆的変化のみならず死に致らしめる.したがって,本症の治療は時期を逸しないことと,外科的適応のあるものなど常に原疾患の適切な治療を忘れてはならない.
脳浮腫の治療薬としては20〜50%ブドウ糖,20%マニトール,30%尿素,10%グリセロールなどの高張溶液や,acetazolamide,副腎皮質ホルモンが用いられてきた.高張溶液は毒性が少ないが,作用時間が短く,ときにreboundがみられるので内科領域では限られた場合にしか用いられない.ただし10%グリセロールは最近,頭部外傷,脳血管障害に伴う脳浮腫に用いられ,脳圧下降効果もすぐれ臨床症状および脳循環代謝の改善が認められている.多くは10%グリセロールを3.3〜5ml/分の速度で,あるいは0.8〜1.2g/kgで点滴静注,もしくは1.5g/kg経口投与し,とくにreboundもない特徴がある.10%以上の高濃度では溶血,hemoglobinuriaなどの危険があるので用いない方がよい.
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