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特集 脳研究の進歩—東京大学脳研究所創立30周年記念
核間性眼筋麻痺,Oscillopsia,小脳症状などを示す3症例
Three Cases with Internuclear Ophthalmoplegia, Oscillopsia and Cerebellar Signs
塚越 広
1
,
萬年 徹
1
,
田辺 文夫
1
,
豊倉 康夫
1
,
村主 好弘
2
Tsukagoshi H.
1
,
Mannen T.
1
,
Tanabe F.
1
,
Toyokura Y.
1
,
Muranushi Y.
2
1東京大学医学部脳研究所神経内科
2東京大学医学部耳鼻咽喉科
1Dept. of Neurdogy, Institute of Brain Rescarch, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
2Dept. of Otolaryngology, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.469-475
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904522
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I.緒言
核間性眼筋麻痺は側方注視の際,内直筋麻痺を示し,その他の動眼神経麻痺の徴候を伴わないという特有な臨床像を呈し,臨床的,病理解剖学的に重要であるばかりでなく,疾患の原因追求の上にも有力な指針を与えるものである。本症状は脳幹部の側方注視中枢と動眼神経核との間にある後縦束の障害によつて生ずるといわれ,原因疾患としては多発性硬化症,血管障害,腫瘍,炎症,外傷などが挙げられている。
核間性眼筋麻痺は長い間注目をあびてきたが,このような症状を示した剖検例はきわめて稀である。本症状は通常めまい,眼振,嘔気及び嘔吐を伴い,これらを合わせて後縦束症侯群と呼ばれることもある。しかし,核間性眼筋麻痺がその他の著明な神経症状を伴つて一つの特徴的な症候群を形成するという報告はみられない。
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