特集 第7回神経病理学会
一般演題〔1〕〜〔102〕抄録・討論
〔15〕〜〔29〕変性疾患
〔15〕病的材料の神経解剖挙的考察—ヘルウェック三角束を中心として,他
石田 陽一
1
,
猪瀬 正
2
,
岡本 道雄
3
,
水野 昇
3
1群馬大病理
2横浜市大神経
3京大解剖
pp.768-777
発行日 1966年12月25日
Published Date 1966/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904375
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1888年,Helwegによつて初めて詳細に記載されたいわゆるHelweg三角束と呼ばれる神経路は,ヒト頸髄上部の前側索移行部にあるきわめて著明な神経路であるにかかわらず,今日なおそれがはたして上行するものか下行するものかも不明であり,ただオリーブ核の高さで消失するところからオリーブ核と脊髄を結合するものとしてTr.olivospinalisまたはTr.spinoolivarisと呼ばれている。本神経路の本体が今日まで不明である原因のひとつは,確実にこのものとhomologousな神経路が動物に存在しないためであつて,われわれのウサギ,ネコ,サルを用いてのオリーブ核と脊髄との結合の詳細な研究成績はヒトのHelweg三角束の解明にはそのまま適用するわけにはいかない。そこでヒトの病的材料を詳細に分析することによつて本神経束の起始と終止を明らかにしようというのが本研究の目的であつて今日までに得た材料は19例,8種の脳疾患であつて,これらを分析して得た結論はつぎのようである。
(1)オリーブ核の高度の変性消失のみられるHolmes型,Déjérine型,ほかに4例のオリーブ橋,小脳i萎縮症と小頭症でHelweg三角束が完全に存在することから本神経路は従来いわれていたようにオリーブ核より起始するものではない。
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