特集 第7回神経病理学会
一般演題〔1〕〜〔102〕抄録・討論
〔9〕〜〔14〕てんかん
〔9〕アレビアチンによる小脳失調の1剖検例,他
難波 益之
1
,
安陪 光正
2
,
三野原 勝子
2
,
武谷 止孝
3
1山口大精神
2国立福岡中央病院神経
3九大精神
pp.764-768
発行日 1966年12月25日
Published Date 1966/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904374
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28歳女:11歳痙攣大発作初発,12歳から週2回に増し,アレビアチン0.3〜0.4gを,28歳まで17年間連用した。しかし発作は,月1〜2回出現していた。21歳からしだいに歩行失調をきたし,とぎれ言葉が加わる。それはしだいに増悪,23歳から独歩困難となり,起居すら不自由,四肢の粗大力は保たれていたが,企図しんせんがあり,摂食・大小便に他の介助を要し,痴呆化した。28歳当科初診時は,ただ床上に横たわるのみにて,寝返り不能,全身の廃用性筋萎縮高度,るいそう著明,表情痴的,自発水平限振あり,歯肉増殖高度,多毛全身にいちじるしく,協調運動拙劣,全身の筋緊張低下著明,腱反射も全般に弱く,下肢では消失,異常反射はない。百葉は不明瞭で,聞きとりえぬ。その後20日目に,けいれん重積6時間後に死亡。
病理所見:気管支肺炎あるほか,内臓に著変はない。脳所見;脳重1180g。脳血管充盈高度,小脳は,全体的に萎縮し,常人の2/3程度となり,硬さを増し,小脳溝が哆開する。組織所見;両側小脳半球・虫部のPurkinje細胞は,完全に脱落し,P細胞層に相当して,Bergmann細胞増殖があり,P細胞の位置に相当してLeeres Korbを見る。分子層にGliose著明,顆粒層には著変なし。虫部髄樹の一部に,中等度の脱髄とGlioseがある。
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