Japanese
English
綜説
胃下垂提挙手術(佐藤式)について
An Operation of Gastroptosis.(Sato's method)
新間 忠男
1
Tadao NIIMA
1
1静岡赤十字病院外科
1Sizuoka Red Croes Hospital
pp.449-450
発行日 1954年7月20日
Published Date 1954/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201465
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
元来胃下垂術式として種々の方法が行われているが最近医師間に胃下垂手術の効果の香しからぬという声も聞かれるで茲に各術式を再考案すると共に吾人が行つている術式の術後状況について患者にアンケートを発して見たのでその御紹介をする.
扨て胃下垂の症状の主たるものは疼痛,羸瘻或は嘔気,嘔吐,便祕又は下痢等であるが,かゝる症状の依つて来る所は小彎及び幽門が極度に低位にある為の十二指腸上部に於ける屈曲によるとされている.しからば胃の幽門部を懸吊してその屈曲を是正すればそれらの症状が消滅する筈である.胃下垂各術式も等しくその方向に向つて術がなされるのであるがその方法には大なり小なりの差異があることが認められる.例えばロブシング氏法は現在殆ど行われていない様であるが胃前壁を前腹壁に広く固定する法で元来固定していない胃を腹壁に固定してしまう所に大いなる不自然さがある.ビーヤ氏胃肝靱帯皺襞形成法は懸吊が不確実の故に之も殆ど行われていない.最も多く用いられていると思われるペルテス氏法であるが肝円靱帯を利用するもので胃漿膜にトンネルを作りその中を靱帯を通じて噴門に近い部分より出し前腹壁にこの靱帯の先端を固定する方法である.又フォーゲル氏法はペルテス氏法に似ているが靱帯を胃前壁小彎近くに置きウィッチエル氏胃瘻造設の場合にゴム管を包裏する如くに漿膜,筋層に糸をかけて靱帯を包裏し先端をペルテス氏法の如く腹壁に固定するのである.
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.