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ゴルヂについて
萬年 甫
1
1東京医科歯科大学難聴研究施設
pp.160-161
発行日 1966年3月25日
Published Date 1966/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904276
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1906年のノーベル医学生理学賞は神経系の組織学に対するいずれ劣らぬ偉大な貢献を讃えて,イタリーのゴルヂとスペインのカハール(正しくはラモニ・カハール)にあたえられ,2人はストックホルムでひとつの賞を分ちあつた。今から丁度60年前のことである。2人は慣例によつて受賞後に記念演説を行なつている。ゴルチは「ニューロン説—理論と事実」と題して12月11日に,カハールは「ニューロンの構造と結合」と題して翌12日に壇上に立つた。いずれもフランス語で書かれている。本号と次号の2回にわたつてこれらを御紹介したいと思う。
ひとつの賞を分ちあつたとはいえ,この両者がそれぞれの奉ずる学説において全く相反していたことは余りにも有名であつた。すなわち,両者ともゴルヂ法という共通の方法を主な武器として脳を観察しながら,ゴルチは網状説を,カハールはニューロン説をとつて互いに頑としてゆずらなかつた。この2人を頂点とする両陣営はそれまでにもことあるごとにはげしい対立をくり返してき,この後も一層はげしく衝突し,その余燼は今日においても全く失せたとはいいがたいほどである。
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