Japanese
English
原著
門脈外科領域における肝性脳症の臨床的ならびに実験的研究—門脈—下大静脈吻合手術後の脳波を中心として—第1編 臨床的研究
Clinical and Experimental Studies on Hepatic Encephalopathy of Patients with Portal Hypertension; Especially on Electroencephalogram after Portal-Systemic Anastomosis
豊島 範夫
1
Norio Teshima
1
1東京大学医学部木本外科
1Department of Surgery, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.799-816
発行日 1965年12月25日
Published Date 1965/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904251
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緒言
重症肝疾患で中枢神経機能が侵されることから肝臓と脳が密接な関係をもつことについては,すでに古く2世紀のころより知られていたという1)。以来この方面の研究は意識障害や神経症状の生起因子を中心として進められ,もつぱら内科的領域の問題であつた。
1877年Eckによつて門脈—下大静脈吻合手術が創始され,Hahnら2)によつてEckイヌにとくに肉を与えることにより神経症状が起こることが報告され,"肉中毒"として有名になつてから肝脳相関の問題がようやく実験外科と結びつくこととなつた。その後肝全摘3)4),肝動脈結紮5)6)7)など実験外科的肝性昏睡の研究は進展していったが,一方一般外科手術後に急性肝不全の状態で死亡するものがあり,外科臨床上でも肝性脳症への関心が高まつてきた。
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