特集 不安とからだ
不安とからだ—不安のからだにおよぼす影響
目黒 克己
1
,
加藤 正明
1
1国立精神衛生研究所
pp.12-16
発行日 1966年10月10日
Published Date 1966/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203752
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現代は不安の時代だという。ますます複雑化する社会機構が,人びとの心をきりさき,たえがたいまでの孤独と不安をまねきよせる。かつてアメリカで"アスピリン・エイジ"(鎮痛剤や鎮静剤を常用しなければいられぬほどの不安な狂騒時代)とまでとなえられたこの不安は,いまだにとりのぞかれていない。
このような社会は,デ・ルダーのいう文明病として新しい病気をうんだ。その名はノイローゼ。この新らしい病気にかかっている人は,きわめて多いと推察されている。しかし病気に対する不安症もふくめて,それだけがすべてなのではない。たとえば療養過程が不安な心によって,大きく影響をうけ,その結果が健康恢復の遅延にまでひびくということさえある。このようにみると,不安は健康にとって無関心ではいられなくなる。このことを保健指導に,どう生かすべきだろうか。この特集は,そうした問題解決の一つの試みである。
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