Japanese
English
特集 神経疫学
水俣病の疫学—附 水俣病多発地区に認められる脳性小児麻痺患者について
Neuroepidemiology of Minamata Disease
徳臣 晴比古
1
,
岡嶋 透
1
,
山下 昌洋
1
,
松井 重雄
1
Haruhiko Tokuomi
1
,
Toru Okajima
1
,
Masahiro Yamashita
1
,
Shigeo Matsui
1
1熊本大学医学部第1内科
1The First Dept. of Internal Medicine, Kumamoto Univ. Medical School
pp.276-289
発行日 1963年3月25日
Published Date 1963/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904014
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
90名近い患者と36名の死亡者を出して住民を恐怖のどん底に追いこんだ水俣病も昭和36年以来新患者の発生をみず漸く終熄した様である。本病が奇病という異名で一般から呼ばれ,専門家から注目された所以には色々のことが上げられる。まず集団的に発生した神経疾患であること。症状が緩慢なものから激烈なもの迄ありながら共通したいくつかのものを持つていること,経過も急性から慢性と色々の段階に分れていること,発病機構が極めて特異であること等の特異性を持つていることである1)−4)。
この奇怪な疾患の究明という課題を背負つた我々の研究班は色々の困難な問題に直面しながら,各々の専門分野で精根を傾けて原因を明かにすることに成功した。神経疾患に於てこの様にすべての面で明かになつた疾患も数少くこの点も内外の注目を集めた原因の一つであると共に本病の特長でもあろう。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.