Japanese
English
特集 中毒性脳障害—第4回脳のシンポジウムより
B・有機水銀中毒と脳障害
水俣病の臨床
Clinical Minamata Disease
徳臣 晴比古
1
,
岡嶋 透
1
H. Tokuomi
1
,
T. Okajima
1
1熊本大学医学部第一内科
11st Dept. of internal medicine, School of Med., Kumamoto Univ.
pp.69-75
発行日 1969年4月25日
Published Date 1969/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904581
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
水俣病の最初の患者が発生したのは昭和28年であり,最後は昭和35年である。この間7年の長期間患者が発生したわけである。原因物質は何かわからないが魚貝類の中にある不明の毒物が原因であることが判明したのはわれわれの研究班が組織されて研究に着手してから半年目であり,この時点で為政者が私共の患者を素直に受け入れて手を打つていればその後の患者の発生は防げたはずである。水俣病は病気であるから臨床的に確かな診断を下さねば化学者が如何に焦つても原因物質への手懸りはつかめない。水俣病の場合臨床的にその基本病像を掴えるのにわれわれは如何に苦心を重ねたかその当時その仕事に携つたものでなくては到底理解しては貰えないであろう。その後水虫治療薬による中毒,新潟阿賀野川の中毒と処と時をかえてこの悲惨な中毒が起るに到つてはじめて当局は本腰を入れ出したようでその間十数年の歳月が経過している。過去に数回も本病については報告しているが1〜13),今回は当初の病像と共に現在の状態および両者の比較を試みることにする。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.