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特集 第4回神経化学懇話会
神経化学の技術と方法
脳灌流法の問題点
Some Problems in Study on Central Nervous System by Brain Perfusion
河井 清
1
,
池田 久男
1
Kiyoshi Kawai
1
,
Hisao Ikeda
1
1岡山大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Okayama Univ. Medical School
pp.614-615
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903993
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- Abstract 文献概要
Geiger以来今日までのすべての脳灌流実験は麻酔した動物について行つております。これは脳循環を分離するための手術を行うには動物を麻酔しておかなければならないからです。GeigerおよびMagnesは灌流実験における麻酔の影響について,灌流を開始すると数分にして脳中の麻酔剤(主としてバルビタール剤)の大部分は人工血液によつて洗い流され,残つた僅かなバルビタールも甚だしく稀釈されてしまう,その証拠に灌流開始後数分から脳の活動性は高まり,酸素消費量も増加し,脳波の上にはdesynchronizationが認められると述べております。その後の多くの実験は彼等のこの意見のもとに行われております。しかし私ともは脳機能特に脳波と脳の物質代謝の関連を研究する目的で,今一度脳波の立場から灌流脳に対する麻酔の影響について検討を行いましたのでその結果を報告します。さらに無麻酔・クラーレ法及び深部電極法による灌流脳の脳波所見につき2・3の新知見を追加させて頂きます。
第1図はネンブタール0.7cc/kg腹腔内注射により麻酔されたネコについて行つた典型的な灌流実験例の灌流開始20分後の皮質脳波であります。その特徴は規則的に反復して現れる紡錘波であります。このことは灌流前の深麻酔状態からより浅い麻酔状態への電気的水準の上昇を示していると同時に,灌流20分後にもなおbarbiturateの影響を無視することが出来ないことを現わしております。
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