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特集 第4回神経化学懇話会
神経化学の技術と方法
脳代謝の動的観察—脳及び血中PO2,PCO2,pH, Na, Kの連続的記録
Dynamic Investigation of Cerebral Metabolism: Continuous Recording of Cerebral and Arterial PO2, PCO2, pH, Na+ and K+
後藤 文男
1
,
田崎 義昭
1
Fumio Goto
1
,
Yoshiaki Tazaki
1
1慶応義塾大学医学部相沢内科
1Dept. of Internal Medicine, Keio Univ. School of Medicine
pp.596-603
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903990
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従来,脳代謝の研究は,生体より取り出された脳切片または脳組織についておこなわれるか,あるいは脳を通過した血液または溶液の化学的分析により脳の代謝をうかがう方法がおこなわれている。然しながら,これらの方法は,脳の機能と代謝の関係を究明しようとする場合必ずしも適当な方法とに言い難い。なぜならば,取り出された脳切片あるいは組織は,既に脳本来の機能を失つたものであるし,急速凍結による化学的分析も,ある瞬間における機能と代謝の断面をうかがうにすぎず,脳血流への考慮なしには,両者の動的な関係を知ることは出来ない。また死の瞬間における変化も免れることは出来ない。灌流法あるいはN2O法における脳血液の分析も,dynamicに変化する代謝の連続的変化を捕えることは出来ない。
われわれは,米国デトロイトのウエーン大学神経学教授meyerと共に,脳の機能と代謝の関係を解明する一助として,脳及び血中のPO2,PCO2,pH,Na,K等を,in situで脳波,脳血流,血圧等と同時に連続記録する方法を確立したので,その概略を解説したいと思う。
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