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特集 第4回神経化学懇話会
脳の特異物質
改良チオコリン法による神経系の検索(補遺)—I.末梢自律神経節細胞内のアセチルコリンエステラーゼに及ぼす5—Fluoro-orotic acid生体内投与の影響 II.中枢神経系に於けるCholinergic Neuronの分布とその細胞学的特徴
Further Studies of the Nervous System by Use of the Modified Thiocholine-Method: Ⅰ. Effect in vivo of 5-fluoro-orotic Acid on Acetylcholinesterase of the Autonomic Ganglia: Ⅱ. Distribution and Cytological Characteristics of Cellular Acetylcholinesterase in the Central Nervous System
福田 哲雄
1
Tetsuo Fukuda
1
1大阪医学大学神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka Medical College
pp.529-536
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903980
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Koelleによつて案出されたアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の組織化学的検出法(thiocholine法)は,過去10年の間にその特異的撰択性によつて,神経系に於けるAChEの分布及び機能的解明に種々の貢献を行つてきたことは,衆知の通りである。このチオコリン法は,1949年に考案されて後,Koelle自身によつて改良が行われ(1955年),所謂diffusion artefactsの削減に或る程度の成果を見た。更に1957年から1958年にかけて著者がKoelleと共に行つた改良の試みは,同法によるAChEの細胞学的局在の問題を検索することを可能ならしめるまでに至つたことは既に報告したとおりである1),2),3),4)。この改良法による一連の検索の結果によれば,神経細胞殊にcholinergic neuronのAChEは細胞体内の核酸RNAを通じて合成され,いわゆるgranular endoplasmic reticulumの部分に分布して,やがて機能的な位置即ち細胞膜面に移動してゆくものと考えることが出来る。
かかるデータ及び解釈は,細胞化学的なデータによつても裏付けられ5),6)ているが,これを更に直接的な実験によつて証明する必要性はまだ残されている。
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