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特集 脳血管性障害・I
脳出血と脳血栓との鑑別診断
The Differential Diagnosis between Cerebral Hemorrhage and Cerebral Infraction (Cerebral Thrombosis)
新 城之介
1
,
伊東 亨
1
Jōinosuke Atarashi
1
,
Toru Ito
1
1日本医科大学内科
1Department of Internal Medicine, Nippon Medical College
pp.379-388
発行日 1961年5月25日
Published Date 1961/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903922
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I.まえがき
脳卒中は近年我国死因統計の第1位を占め,急激な発作に引続いて死亡するものが多く,その対策は臨床的に極めて重要な意義を有するものである。脳卒中は脳の急激な循環障害によつて起こる意識障害と運動機能の失墜を主徴とする急性症候群を意味するが,その原因としては脳出血cerebra hemorrhage,「脳梗塞(軟化)cerebralinfarction即ち血栓thrombosis及び脳塞栓cerebral embolismのほか,臨床的に同様な脳卒中様症状を来たすものとして,くも膜下出血,硬膜下出血(血腫),内頸また脳底動脈血栓症,急性脳循環不全,高血圧性脳症,脳静脈洞血栓その他があり,その基礎疾患も種々であるが,最も重要なものは高血圧,脳動脈硬化に基因する脳出血及び脳血栓である。
脳卒中の対策としての治療は脳出血か脳梗塞かによつて趣を異にする場合もあり,治療は確実な診断のもとに行うことが必要である。脳出血及び脳梗塞の診断については既に多くの記載があり,定型的な場合は問題はないが,非定型的な例も少くなく,両者の臨床的鑑別は屡々極めて困難である。以下脳出血及び脳血栓の鑑別診断について我々の検索を中心に述べることとする。
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