Japanese
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特集 脳血管性障害・I
脳底及び椎骨動脈の閉塞とその循環不全の臨床
Occlusion and Insufficiency in the Vertebral-Basilar System
吉倉 範光
1
Norimitsu Yoshikura
1
1東京大学脳研究所
1Brain Research Institute, Tokyo University
pp.389-397
発行日 1961年5月25日
Published Date 1961/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903923
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脳底動脈の閉塞によつて脳幹の組織に軟化を生じ,その部位によつて特微ある症候群を呈することはすでにデジェリンの『神経疾患の症候学』1)に記されているが,この診断はそう簡単には確立できなかつた。最近になつてMayo Clinicでの研究によつて,脳底動脈が閉塞を起こすかなり前から,間歇的に一定の循環不全症状を呈することが明らかにされ,脳底動脈の閉塞が生前に正しく診断されるようになり,併せてそれらに対する有効な処置の方法も見出されたのである。
椎骨動脈のみの閉塞についても,報告は1920年代から発表されている。このばあいは,むしろこの動脈の分枝である後下小脳動脈の閉塞症状が異常な興味をそそつていたため,この症候群が椎骨動脈の閉塞症状を代表すると考えられてきた。しかしこの動脈の循環不全症状は一部内頸動脈のそれに似ているのである。
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