Japanese
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特集 脳血管性障害・I
脳血管の構築学的特性—合成樹脂注入法による検討
Angioarchitectural Specifity of the Human Brain
勝木 司馬之助
1
,
朝長 弘道
1
Shibanosuke Katsuki
1
,
Hiromichi Tomonaga
1
1九州大学医学部第二内科
1Second Department of Internal Medicine. Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.277-289
発行日 1961年5月25日
Published Date 1961/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903914
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I.はじめに
脳動脈の解剖学的研究にはDuret(1872),Heubner(1874)以来幾多の業績がつみ重ねられてきた。なかでも脳幹を潅流する動脈についての研究は数多く,主としてその分布領域や末梢吻合の有無が問題とされ,その意味づけが種々論じられている。従来試みられた脳血管の解剖学的検索の多くは色素剤注入法による組織学的方法によるものであり,時に又造影剤注入によりレ線学的に検索され,或いはセルロイドアセトン注入による立体標本での観察を行つた人もある。就中,色素剤注入法によるPfeifer1)の業績が高く評価されていることは周知の如くである.
一方,合成化学の発達に伴つて,合成樹脂注人による脳血管立体標本の製作も試みられろようになつた。しかし,未だ満足すべき標本の作製に成功した報告は見当らない。我々は数年来,脳血管の鋳型標本の作製に最も適したアクリル合成樹脂の調整法を研究し,従来の報告にみられないすぐれた標本を得2),それを用いて脳全体の血管構築を立体的且つ系統的に観察することが出来て種々の興味ある知見を得た。而して,かくして得られた脳血管構築上の特異性の意味するものを検討する目的で,我次は更に動物実験,或いは臨床病理学的研究を行つて来たのである。
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