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I.はじめに
筋組織はその特徴的な形質のために生物学のいろいろな分野において,比較的研究しやすい対象の一つであった。これは発生学の分野においても例外ではない。しかし過去の筋発生学における業績を振り返ってみると,形態学的あるいは実験形態学的な研究が主流であって,この問題に生化学的手法を用いて迫った研究は少なかった1〜5)。これは発生初期では筋が量的に少ないということによると思われるが,何よりもその基礎となる筋化学,蛋白合成系の生化学の発達に待つところが大きかったからである。しかし最近の筋蛋白化学,分子生物学の分野の目覚ましい発展は筋蛋白の発生と分化に関する研究の基礎を与えたといえる。
さて,現在この方面における研究は1950年前後のHerrmann一派によるきわめてオーソドックスな胚の成長に伴う筋蛋白,核酸の定量的解析6)から始まった。これは現在筋の蛋白合成機構の研究へと発展している4)。また一方,胚のミオシンのATPaseを中心とした胚の筋蛋白の性質の研究からのアプローチも多い。このほかHoltzerらの筋予定細胞の分裂周期と分化の研究7),Yaffeの筋細胞のcell lineの開発とそれを用いての研究8)も見逃せない。
1) Immunochemical specificity of the rabbit's antibody against each structural protein of muscle from either fast white, slow red, cardiac or smooth muscle was examined. Antiserun against the heavy chain of each myosin was shown to be more spe-cific than any other antibody. Using this antise-rum, the following experiments were carried out.
2) Breast and cardiac muscle of the various stages of chick embryo were sectioned and stained by the fluorescent antibody against adult chicken skeletal or cardiac myosin, and then observed under the fluorescent microscope.
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