Japanese
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特集 三叉神経系
三叉神経核の感覚情報伝達に関する薬理学的研究
Pharmacological study on the sensory transmission in trigeminal nucleus
笹 征史
1
,
高折 修二
1
Masashi SASA
1
,
Shuji TAKAORI
1
1京都大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.1076-1085
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903685
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I.はじめに
主観的要素の多い疼痛感覚を,客観的にとらえ研究する対象として,以前から三叉神経上行知覚路が選ばれている。脳幹部における三叉神経第一次中継核は局所解剖学的に,上知覚核(sensory superior nucleus)および脊髄路核(spinal trigeminal nucleus)に区別される。前者に入った知覚神経はneuronを代え,同側および反対側の背側二次上行路を経由して視床の腹側後内側核に至る。一方,後者はさらに頭側部(rostral part),中間部(interpolar part)および尾側部(caudal part)の三つに分けられ,尾側部は頸髄のC3〜C4にまで達している。末梢から入った線維の多くは,いったん下行して脊髄路核の各部に入り,neuronを代え,反対側の腹側二次上行路を経由して視床の腹側後内側核に到達する。かつて,顔面,口腔感覚のうち,触覚および圧覚は三叉神経上知覚核に投射され,一方,脊髄路核は痛覚および温度感覚を受容するといわれたが,その後のいろいろな研究により,両核の感覚種は必ずしも厳密に区別されず,侵害刺激にのみ選択的に反応するneuronはみられないといわれている19)。
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