Japanese
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特集 三叉神経系
三叉神経感覚情報処理の中枢機構
Central mechanism of information processing in trigeminal system
横田 敏勝
1
Toshikatsu YOKOTA
1
1北海道大学歯学部口腔生理学教室
1Department of Physiology, Hokkaido University School of Dentistry
pp.1009-1020
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903679
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三叉神経系の体性感覚第一次中継核は周知のように主感覚核(main sensory nucleus)と脊髄路核(nucleus of spinal tract)とに分けられる。
Hun(1897)は左後下小脳動脈閉塞によって,左顔面と顔面を除く右半身の痛覚,温度覚が消失した患者の剖検成績を報告し,オリーブ核後方領域(retroolivary region)に典型的な軟化巣があったところから,橋に入った三叉神経感覚根は機能別に群化して,触覚線維は主感覚核,痛覚・温度覚線維は脊髄路核にそれぞれ終ると提唱した。ついでSpiller(1915)は,左顔面全体の触覚と,右半身の痛覚・温度覚が消失した多発性硬化症患者の死後の脳を調べて,主感覚核に傷害があるのを見出した。この症例では左顔面の痛覚と温度覚とが保たれており,主感覚核のみが触覚を中継すると考えられた。これらはいずれも,主感覚核と脊髄路核とが機能的に分化し,脊髄路核はその全長にわたって同じ機能を持つとするものである。
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