Japanese
English
特集 平衡機能と姿勢反射
前庭核,前庭脊髄路の解剖
Vestibular nuclei and their descending tracts
金光 晟
1
Akira KANEMITSU
1
1東京都神経科学総合研究所
1Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
pp.673-684
発行日 1974年8月10日
Published Date 1974/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903648
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はじめに
前庭核から脊髄への下行性伝導路として,脊髄の前索腹側縁を下行するもの19)と,前正中裂に沿って下行するもの23)とが早くから指摘されていた。しかしこれらの下行性伝導路の起始細胞の前庭核内での分布,ならびに脊髄灰白質における終止部位について詳細な所見がえられたのは比較的最近のことである。今日われわれが前庭核についてもつことのできる新しい知見は,幼若動物をもちいた逆行変性法(BRODAL,1939)2),正常線維とともに変性軸索を染めだす銀染色法(GLEES,1946)12),変性軸索を選択的に染めだす銀染色法(NAUTAとGYGAX,1954)24))などをもちいてBRODALとその共同研究者たちによって明らかにされた実験所見6)に負うところが大きい。
POMPEIANOとBRODAL(1957)35)によると,幼若ネコの上部頸髄を半切すると前庭核のうち外側核のみに逆行変性細胞がみられるという。そして,CARPENTER(1960)9),NYBERG-HANSENとMASCITTI(1964)33)らは,ネコの外側核に損傷を与えて脊髄の前索腹側縁を下行する変性線維をNAUTA染色によって確認している。
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