今月の主題 めまいの基礎と臨床
「めまい」に関する解剖と生理
前庭系の解剖
金光 晟
1
1長崎大第1解剖
pp.648-649
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207180
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はじめに
皮膚知覚系,視覚系,聴覚系などは伝導路の直列的配列によって終脳新皮質に到達しており,比較的単純な図式で要約できるのに対し,前庭系はいささか様子が異なっている.すなわち,前庭神経の終止核である前庭核は小脳,脳幹網様体,脊髄前柱,問質核,視床腹外側核などの錐体外路系構造物と放散的に神経結合をもっている.つまり,体性知覚として分類される平衡覚は中枢において直ちに体性運動系に組み込まれるわけである.平衡覚が頭部固有知覚と解釈される所以であろう.
筆者は「めまい」が前庭系と具体的にどのような関係をもつかについてまったく暗い.本稿では前庭系の中心的構造物である前庭核の細胞構築にふれ,該核の求心路と遠心路について略説しようと思う.
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