Japanese
English
特集 脳のシンポジウム
主題—前庭神経・前庭神経核の組織と機能
前庭脊髄路におけるα-γ linkage
α-γ Linkage in the Vestibulospinal Tract
本郷 利憲
1
Toshinori Hongo
1
1東京医科歯科大学歯学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Dentistry, Tokyo Medical and Dental University
pp.122-128
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903112
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
従来の刺激実験と破壊実験によつて,前庭神経外側核いわゆるDeitersの核に起源する前庭脊髄路が,四肢の伸筋に対して促通効果を及ぼすことが知られている1〜3)。これらの研究は主として.錘外線維(extrafusal fibre)を支配するα運動細胞の活動を記録したものか,あるいは最終効果としての筋の働らきを指標としたものであるが,γ線維―筋紡錘―Group Ia線維によつて構成される閉回路(γ-loop)の役割りを考えるとき,γ運動細胞がこの下行路からいかなる作用を受けるかをあわせて解析することの意義は明らかである。最近にいたり,Pompeianoとその協同研究者4,5)は筋紡錘の求心性活動を指標として,Deiters核の刺激が伸筋支配のγ細胞に対して促通効果をもつことを示した。一方Granit6)は,反射活動においてα,γ両細胞がともに促通効果を受ける(coactivation)とき,両細胞に対する反射経路がたがいに結合していると考えてこれを,"α-γ linkage"とよび,その機能的意義を論じた。Pompeianoらの研究4,5)はDeiters核からの下行作用にα-γ linkageの成り立つことを示唆するが,このlinkageが前庭脊髄路によるかどうか,作用のシナプス機構がどうなつているか明らかでない。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.