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特集 脊髄血管障害
脊髄の血管性障害の臨床と病理
Clinical experiences and pathology of the vascular disorders of the spinal cord
安藝 基雄
1
Motoo AKI
1
1虎の門病院神経科
1Department of Neurology, Toranomon Hospital
pp.463-478
発行日 1974年6月10日
Published Date 1974/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903630
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Ⅰ.緒言
脊髄の血管性傷害の頻度が,脳のそれに比して著しく低いことは,すでによく知られた事実である。そしてわが国でもこの方面への関心は次第にたかまり,交献も次第に増加しつつある。しかしたとえば昭和41年行なわれたシンポジウムの記録1)を見ても,あるいは個々の研究者の報告を見ても(加藤2),萬年3)ら),臨床と病理とを具体的に結びつけた業績はいまだ少ない現状である。
ここに提示する症例はわれわれの乏しい経験の一端であり,その病理学的所見そのものはみなすでによく知られたところである。ただ臨床症状ないし経過との関連に具体的にふれた点が,いささかながら将来の参考となり得ることを願い,この機会にあえて述べることとする。したがって体系的,総括的記載を意図せず,個々の症例につき,それぞれ簡単な考察を小括として加えるにとどめる。統計的観察もまた将来の課題として保留させていただきたい。
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