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特集 第9回脳のシンポジウム
主題:脳血管性障害
脊髄血管性障害の臨床病理—脊髄血管奇形を中心として
Clinico-pathologic study of the spinal vascular malformation
萬年 徹
1,2
Toru MANNEN
1,2
1東京都養育院付属病院神経科
2現在:東大・脳研・神経内科
1The Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital.
2Department of Neurology, Institute of Brain Research Faculty of Medicine, University of Tokyo.
pp.1156-1161
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903593
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I.はじめに
中枢神経系の血管奇形は臨床的に特徴のある症状を呈し,病理学的にもその組織所見をめぐって多くの問題を有している。その中でも,日常われわれが経験するのは脳の血管奇形であるが,その臨床像と病理学的特徴とを対比,分析する際に脳の血管造影の所見を無視することはできない。しかし,同じ中枢神経系でありながら脊髄の血管奇形は脳のそれよりも頻度が低く,かつ,人の注意をひくことも少なく,むしろ診断が困難な疾患と考えられていた。その理由として,脊髄の異常血管を造影するには適当な方法がなかったからである。ところが1962年頃からDjindjianらにより脊髄の血管造影法が開発されるとともに,脊髄の血管奇形の問題はにわかに神経学,神経外科学の分野で多くの注目を集めるに至った。Djindjianらについで,Di Chiroらの研究があいついで発表され,脊髄でも脳と同様,臨床所見および血管造影所見と病理学的所見とを対比し得るようになった。
今回,私は東大神経内科における脊髄血管奇形の症例の臨床所見,血管造影所見に基づいて,今までは主として病理学上からなされていた脊髄血管奇形の分類に検討を加え,同時にFoix-Alajouanine病,すなわち,亜急性壊死性脊髄炎の本質は何かについて私見を述べて見たい。
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