Japanese
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特集 第9回脳のシンポジウム
主題:代謝性神経筋疾患
指定討論:Fabry病の生化学的研究
Biochemical studies in Fabry's disease
飯田 静夫
1
Shizuo HANDA
1
1東京大学医学部生化学教室
1Department of Biochemistry, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.1063-1064
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903572
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Fabry病は19世紀の終わりから臨床的には知られていたが,1963年にSweeleyがFabry病患者の腎に2種類の糖脂質が正常人の10倍以上も蓄積していることを見出して糖脂質の代謝異常による疾患であることが明らかにされた1)。肝,脾,大腸,大動脈,リンパ節,交感神経節および脊髄には,gal(1→4)gal(1→4)glc(1→1)ceramide(CTH)が,腎にはCTHのほかに,gal(1→4)gal(1→1)ceramide(CDG)が蓄積する2,3)。
その蓄積機序については合成能の亢進は重水素標識グルコースの糖脂質へのとりこみに差が認められないことから一応否定され4),一方2種の蓄積糖脂質はともに非還元末端のガラクトースがα結合していることが示され5),α-ガラクトシダーゼの遺伝的欠損がこの疾患の本態であることが明らかとなった5,6)。これらの構造研究に際しては従来の古典的有機化学の手法のほかにガスクロマトを初めとする各種クロマトグラフィーや質量分析,核磁気共鳴吸収スペクトルなどの分析法が非常に有効であった5)。
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