Japanese
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特集 第9回脳のシンポジウム
主題:代謝性神経筋疾患
指定討論:Tay-Sachs病とSandhoff病のガングリオシド代謝異常をめぐる問題点の一考察
A consideration of the metabolic disorder of gangliosides in Tay-Sachs disease and Sandhoff disease
武富 保
1
Tamotsu TAKETOMI
1
1信州大学医学部付属順応医学研究施設生化学部門
1Institute of Adaptation Medicine, Shinshu University
pp.1051-1052
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903570
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Tay-Sachs病はガングリオシドが脳組織に異常に蓄積するものであることがKlenkらによって,すでに1939年に報告されている。その後,このガングリオシドの化学構造についてKlenkやSvennerholmらの研究がなされたが,最終的には,1963年,牧田,山川によって決定された。このものは正常脳に多量存するガングリオシドとは異なり,Tay-Sachsガングリオシド(GM2)と呼ばれている。本症ではこのGM2のほかに,これほど多量ではないが正常脳にほとんど認められないasialo GM2(Tay-Sachsグロボシド)も増量することが明らかにされている。これらの化学構造が決定されると必然的にこれらの物質が蓄積する原因は分解過程の異常,つまり,非還元末端のN-acetylgalactosamineを切断する酵素の欠損によるものであろうと推定され,事実,1969年Okada & O'Brienはhexosaminidase Aの欠損を見出し,その後,多くの研究者によって認められて来ている。
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