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特集 小脳
小脳内ニューロン回路の生理学
Physiological studies on neuronal circuits in the cerebellum
佐々木 和夫
1
Kazuo SASAKI
1
1京都大学医学部脳神経研究施設生理学部門
1Department of Physiology, Institute for Brain Research, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.822-837
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903544
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小脳内のニューロン回路の生理学的な研究は,ここ10年ぐらいの間に飛躍的に進んだ。それには,微小電極法を駆使した電気生理学的な研究方法が威力を発揮したものであるが,この生理学的研究の進歩は,カハールの頃以来の多くの神経組織学的研究により,小脳の形態が他の中枢神経組織に比してより正確に把握されていたことに基づいている。もちろん,生理学的な研究の進歩に伴って,今まで組織学的に結論の出ていなかった結合が決定的になったり,あまり重要視されていなかったニューロン回路の機能的意味が重くみられるようになったことも間々あった。また,ここ約10年の間に,電子顕微鏡による小脳内シナプスの微細構造の研究が,生理学的研究と相前後して,いくたの知見をもたらした。
このようにして,小脳は,ニューロン回路という立場から,現在,中枢神経系の中で一番よく解明された所といえるであろう。また,形態学的,生理学的研究の進歩は,中枢神経系の情報処理機構研究のモデルとして取り上げられ,さらに,神経化学的,神経薬理学的な研究領域を刺激して,これらの方面の研究も活発になって来た。本論文では,神経組織学的な知見を基にして,微小電極法による小脳内ニューロン回路の研究がいかに進められて来たかについて,いくつかの例で示すことにする。
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