Japanese
English
特集 神経疾患と脂質代謝
脳浮腫と脂質
Biochemistry or brain edema with special emphasis on lipid
谷村 憲一
1
Ken-ichi TANIMURA
1
1新潟大学脳研究所脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Brain Research Institute, Niigata Univ.
pp.543-553
発行日 1973年6月3日
Published Date 1973/6/3
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903519
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
脳浮腫は,臨床上竪急な解決が望まれながら,まだ多くの問題を残している中枢神経系の重要な病態の一つである。脳浮腫は中枢神経系のおよそすべての病的状態に共通な二次的表現形式であり,時には原疾患を超えて死の転帰さえもたらす。
Reichardt1)が1905年に,初めてその科学的研究の成果を報告して以来,膨大な知識の集積がなされている。過去10年,教室でも重要な研究課題の一つとして,多くの人員がその病態および発生機序の解明に取り組んで来た。そして,いくつかの新しい知見を加えることはできたが,いまだ本質に立ちち入るところまでには至らず,また,他の研究を見ても近い将来に根本的に究明しつくされるだろうという期待も持てないのが現状である。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.