Japanese
English
特集 神経疾患と脂質代謝
脳血管性障害と脂質
Cerebrovascular diseases and lipids
中村 治雄
1
Haruo NAKAMURA
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Department of Medicine, Keio University
pp.536-542
発行日 1973年6月3日
Published Date 1973/6/3
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903518
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I.はじめに
1968年に,アメリカ心臓病学会における脳血管性疾患委員会で,いわゆる脳血管障害の危険因子についての調査が開始され,数年にわたる議論のすえ,1)一過性脳虚血発作,脳硬塞の既往のあるもの,2)高血圧,3)心疾患のあるもの,たとえば,左室肥大,心筋硬塞,心房細動,心不全など,4)他に動脈硬化の所見のあるもの,たとえば間歇性跛行,頸動脈雑音,脈拍欠損など,5)糖尿病その他の糖代謝障害,6)血清脂質増加,つまりコレステロール,β-リポ蛋白,内因性トリグリセライド,pre-β-リポ蛋白の増加,を挙げ,これらの危険因子がいくつか組み合わさった時に,よりその発生頻度の高くなることを述べている1)。さらに,喫煙の習慣,ヘマトクリット増加,高尿酸血症も,ある程度関係あるものと推定している。これら危険因子は,現在までの成績から考えられるもので,今後の調査の続行で改正される可能性を含んでいる。しかし,いずれにせよ,血清脂質の増加は,冠疾患との関係ほどの著明なものではないが,かなり脳血管障害と,関連すると考えられている。ここに脳血管性障害と脂質との関係を,脳の血管壁の脂質を含めて,まとめてみたい。
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