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I.緒言
迷走神経背側核について,Kölliker (189620),Banzl—Federn (1898)3)らはここを知覚神経核(背外側核と背内側核とを区別していない)と考えたが,Dees7),Kohns—tamm21),Kosaka & Yagita22),Molhant31),Miller & Bo—wnan29),Husten16),Laughton27),Gagel & Bodechtel12),Kimmel10),Chiarugi5),坪川42)らによる組織学的および生理学的研究で,迷走神経背側核は迷走神経内臓運動線維の起始核であるという見解が一般的に承認されている。しかしMitchell & Warwick30),Nishi33)のようにこの背側核には知覚と運動の両細胞が存在することを主張するものもある。一方にまた,Huet (1898)15)が上頸神経節摘出でここに変性細胞を認めることから,迷走神経背側核は単に副交感神経の起始核であるばかりでなく交感神経細胞も存在することを主張して以来,Molhant31),Gagel12),甲斐17),新田34),陳6),冲中35),鎮目41)らによつて同様の報告がなされている。さらに,甲斐17),新田34),陳6),冲中ら36)は背側核における交感神経細胞は,頸髄にも連続して認められ,胸髄の側柱核(交感神経核)に至ることを組織学的に追及して報告した。しかし,これを生運学的に追及したものは少ない。すなわち,Brugsch,Dresel & Lewy (1920)2)は,迷走神経背側核の中央1/3の部位の刺激で血糖値が上昇することから,この部位を交感神経の起始核とし,またLaughton27)は,やはり背側核の刺激で胃運動の抑制を認め,黒岩25)は血圧上昇と頻脈を認めている。さきに著者は,延髄における血圧調節中枢を追及した実験8)10)において,この背内側核の刺激で血圧下降例の他に多くの著明な血圧上昇例を認めることができた。そこで,血圧および心拍数を指標として迷走神経背内側核の刺激実験を試み,この核がもつ交感性および副交感性機能について追及したので報告する。
この論文で用いた迷走神経背内側核42)という名称は,小細胞群よりなる迷走神経背外側核42)に対し,その腹内側部の大細胞群を指している。
Although it is considered that tne dorsal nucleus of vagus is the origin of the vagus nerve, the stimulation of the dorsal nucleus of vagus of the dog's medulla oblongata, induced not only the depressor responses but also the pressor responses. And the depressor responses were also obtained through the spinal cord as well as through the vagus nerves.
The pressor and the depressor areas were examined histologically. The pressor areas were located in the every level of the dorsal nucleus of vagus and were mixed the depressor areas as shown in Fig. 1.
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