Japanese
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特集 感覚情報の処理機構
情報伝達機構に関与する神経分泌細胞と脳室上衣細胞
Transport of external stimuli by the neurosecretory system and the ependymal cells
小林 英司
1
Hideshi KOBAYASHI
1
1東京大学臨海実験所
1Misaki Marine Biological Station, University of Tokyo
pp.712-722
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903424
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神経細胞がホルモン物質を分泌する現象は,1928年Scharrerにより細胞学的に魚類の脳で発見され,1949年Bargmannにより,その分泌物質の的確な染色法が確立されるに及んで大きな進歩をみた。この場合,分泌されるのは神経ホルモン(neurohormone)であり,通常,血中に分泌されて運ばれ,他の組織あるいは器官に作用する物質である。多少の例外があるが,それについては後で述べる。したがって神経細胞により分泌され局所的に作用するアドレナリン,ノルアドレナリン,アセチルコリンなどは神経ホルモンではなく,neurohumorである。
さて,神経分泌現象によって情報が伝達される系として,脊椎動物では,現在三つの系を挙げることができる(図1)。本稿では無脊椎動物の神経分泌系については取り扱わない。第一はGomoriの染色法でchrome-alum hematoxylin(CH)や,aldehyde-fuchsin(AF)によって,分泌物が染色される視床下部神経分泌系(Gomori-陽性神経分泌系)で,第二はGomoriの染色法でCHやAFで染色されないが,生理的に分泌物質の存在が確認されている脳の神経分泌系で,脳下垂体ホルモンの分泌調節に関係している。
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