Japanese
English
特集 感覚情報の処理機構
内分泌腺に達する神経情報の処理機構
Mechanism of neuroendocrine integration
吉田 尚
1
Sho YOSHIDA
1
1東京大学医学部第三内科教室
1The Third Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.723-727
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903425
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Ⅰ.緒言
内分泌腺に達する広い意味の感覚情報にはそれに対する内分泌腺の対応の仕方から3種類に分類することができる。その一つはいわゆる生体内部環境に関する情報である。これには細胞外液滲透圧,循環血液量,血圧あるいは各種ホルモン血中濃度に関する情報がある。この場合は分泌されたホルモンの効果がこれら生体内部環境の変化を是正する方向に働らき,この結果ホルモン分泌量が抑制される。すなわち負のfeed back loopにより分泌量が調節されている。第二は痛覚,触覚など,狭い意味の感覚情報である。この場合,オキシトチン分泌の際に乳頭より伝わる触覚刺激,あるいはゴナドトロピン分泌に関する臭覚のように特異的な感覚として処理される時と,非特異的なストレスとして処理される場合がある。
Yatesら1)はACTH—副腎皮質系のストレスに対する反応についても血中コルチコイド濃度によるfeed back機構があり,ストレス時にはそのsetting pointが上昇しているという仮説のもとにコルチコイド分泌調節を説明しようとしたが,非常に強いストレス時には大量のステロイドによっても分泌を抑制できないことから,ストレスの際の反応にはfeed back loopによらないopen loopの分泌があることを認めた2)。
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