特集 食欲
食欲とは
速水 泱
1
1国立栄養研究所食品化学部
pp.13-16
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910657
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はしがき
身体の調子がよい時には食欲がさかんで何を食べてもうまいが,ちよつと調子が悪いとすぐに食欲が衰えてくることはだれも経験するところである。特殊な病気を除けば病人は一般に食欲が衰えていることが多いが,病気がよくなつてくると食欲もでてくるものである。このように食欲は健康の一つのバロメーターであつて,我々の生命を維持する上に極めて重要な現象の一つである。食欲は飢餓,渇,頭痛,腹痛,尿意,便意,疲労,倦怠,はきけ,めまい等とともに内臓感覚といわれるものに属している。
内臓感覚というのは身体の要求するものが精神的な要求としてあらわれるもので,全身の状態,または体内の各個の器官の状態を知るもとになる感覚である。そしてその要求を満たそうとする行動をとらせるようにしむけるものである。
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