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特集 神経病理—第12回日本神経病理学会学術研究会より
シンポジウム—脳の発達とその障害
Ⅱ.胎生期における脳障害
胎生期脳障害—比較発生病理学的観察
Developmental disturbances of the brain: Observations from the view point of comparative developmental pathology
村上 氏廣
1
Ujihiro MURAKAMI
1
1愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
1Institute for Developmental Research, Aichi Prefectural Colony
pp.406-414
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903394
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先天異常の種類は実に多いが,疫学的および個人・社会福祉の見地から最も重要なものは中枢神経系の発生障害である。かつ,流早死産あるいは出生後間もなく死亡する先天異常よりも,致死的でない脳の発生障害に対して研究の重点がむけられなければならない。もちろん,これは発生障害のもつ意義を個人および社会福祉の点からみての所論であり,比較的頻度の高い無脳症などが顧みられなくてもよいというのではない。
かような意義のある脳の発生障害の成立を防止するにはまずそれらの成立機序を知らないわけにはいかないのである。しかし,ヒトについて直接この問題にふれうることは,単に異常の成立した個体からの遡行的な推論に止まり,発生障害の成立機序の解明はようやく動物実験によってのみ実験的成立とその結果の動的観察が可能であるからである。したがってわれわれはこのapproachの方法を比較発生病理学とよんでいる。
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