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特集 神経病理—第12回日本神経病理学会学術研究会より
シンポジウム—脳の発達とその障害
Ⅱ.胎生期における脳障害
脳の先天異常の剖検例から
Congenital anomalies in the central nervous system: Special reference to reaction to injury of human fetal tissue
松山 春郎
1,2
Haruo MATSUYAMA
1,2
1脳性麻痺研究所
2慶応義塾大学医学部病理学教室
1The Research Institute on Cerebral Palsy.
2Department of Pathology, Keio Univ. School of Med.
pp.415-421
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903395
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中枢神経の先天異常の剖検例からその成因に関する手掛りの得られることはむしろまれである。未熟の組織と成熟組織との間には,reaction to injuryに大きな相違があるということがその大きな理由の一つである。このことは未熟の度が強いほど著しいことは当然である。
胎生初期に障害された脳組織は,成熟脳におけるごとき組織反応を示さず,そのまま崩壊消失した後よく再生し得ることは実験的によく確かめられている。しかし予定された構築に乱れを生じるので,その障害された時期は,奇形学の教えるところにより推定し得ることもまれではない。胎生後期ではしかし,脳の組織構築の基盤はほぼ完成し,組織反応の形も成熟型の多様性に近づく傾向を示しだすため,その成因を推定し得ることもあるが,一方生後,とくに周生期における病変との鑑別に困惑することもしばしばである。次に先天異常の症例の局所の病変につき述べる。
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