Japanese
English
特集 第6回脳のシンポジウム
主題—ウイルス感染と神経系(いわゆるslow virus infectionの考え方)
中枢神経系の先天異常の成因—脳と胸腺病変との相関
Ethiopathogenesis of Congenital Anomalies in Central Nervous System: Congenital Anomalies of Brain and Hypoplasia and Involution of Thymus
松山 春郎
1,2
Haruo Matsuyama
1,2
1脳性麻痺研究所病理部
2慶大病理
1The Research Institute on Cerebral Palsy
pp.493-494
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903265
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
先天異常の成因を病理解剖学的検索により決め得られるような症例は少ない。脳の先天異常に感染が関係していることは少なくないと考えられるが,実際にこれが確認されることはむしろまれである。胎児脳においては炎症としての特殊性は弱く,その終末像は,再生や分化成長により強く修飾されるからである。
風疹ウイルスの催奇形作用についてはよく知られていて,先天性風疹症候群では,全身の成長が妨げられるが,とくに脳と胸腺のそれを強調する人もある。胎内ウイルス感染にさいして,胸腺がいかに反応するかは,当然その感染の時期や,ウイルスの細胞内棲息の様式などにより異なつてくるとは考えられるが,ほとんどその成因に関してなんらの手掛りも得られない脳の先天異常の剖検例をみる時に,胸腺の病変が,脳内感染の指標となりはしないだろうかという考えのもとに,脳の先天異常の症例のうちで,胸腺に病変のみられるものを集めてみた。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.