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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—日本における神経化学
α-N-アセチル-L-アルギニンの分離同定および痙攣誘発作用について
Isolation of α-N-acetyl-L-arginine from Calf Brain and Convulsive Seizure induced by This Substance
森 昭胤
1,2
,
大楠 晴美
1
Akitane Mori
1,2
,
Harumi Ohkusu
1
1大阪大学医学部第二外科教室
2現:岡山大学医学部脳代謝研究施設機能生化学部門
1Department of Surgery, Osaka University Medical School
2Institute for Neurochemistry, Okayama University Medical School
pp.304-306
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903236
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脳組織に存在するグアニジン体にはアルギニンのほかグリコシアミン2〜4),タウロシアミン2,14,15)およびγ-グアニジノ酪酸7,8)が知られている。これまでこれらグアニジン体の生体内分布の研究は通常ペーパークロマトグラフィー9,10,12)を用いて行なわれていたが,正確さおよび再現性などの点で多くの問題があつた。われわれは最近,坂口反応に基づいたクアニジン体の自動分析装置を考案し13),種々の組織についてグアニジン体の分離定量を行なつているが,この方法によると脳組織の分析記録中に数個の未知のピークが出現することに気づいた。そこで,この未知のピークを示す諸物質を分離同定すべく,ウシ脳の分析処理を行なつていたが,そのうちまずグリコシアミンの直後に出現するピークに対応する物質をピクロロン酸塩として分離することに成功し,分析の結果,α-N-アセチル-L-アルギニンと同定しえた。また,この物質をウサギの大槽内に注入すると強直性,間代性の痙攣を誘発することを知つたので,ネコについて深部脳波的検索を行なつた。
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