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特集 間質性肺炎治療法の新展開
N-アセチルシステイン
N-acetylcysteine
本間 栄
1
,
村松 陽子
1
,
杉野 圭史
1
Sakae Honma
1
,
Yoko Muramatsu
1
,
Keishi Sugino
1
1東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Toho University Omori Medical Center
pp.359-365
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101455
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はじめに
特発性肺線維症(IPF)増悪例の治療には,これまでステロイド剤が広く使用され,米国胸部学会(ATS)のIPF診療のガイドライン1)では,進行性に悪化するIPFに対してステロイド剤と免疫抑制剤であるシクロフォスファミド,またはアザチオプリンの併用を推奨してきた.しかし,これらの薬剤を併用しても効果は十分とは言えず,血球減少などの副作用で薬剤を中止せざるを得ない症例も少なくない.このため,最近では線維化が顕著となる以前の疾病早期からの治療導入が必要であると考えられるようになっている.
グルタチオンはグルタミン,システイン,グリシンの3つのアミノ酸から合成される.IPFの末梢気腔ではグルタチオンが減少し,レドックスバランスの不均衡が生じ,特に進行例において顕著になる(図1~3)2~4).N-アセチルシステイン(NAC)はグルタチオンの前駆物質として抗酸化作用を有するとともに,直接活性酸素のスカベンジャーとして作用し,さらに炎症性サイトカインの産生を抑制することで,抗線維化作用を発揮すると考えられている(図4)5~7).
また,最近の基礎実験において,IPFの線維化機序の一つである肺胞上皮細胞における上皮-間葉転換(EMT)がNAC投与により抑制されることが示された.これは,細胞内グルタチオンの補充とTGF-β1に誘導される細胞内活性酸素種産生を抑制する機序が主に関与している8,9).
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