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特集 神経病理—第10回日本神経病理学会総会より
外傷
実験的慢性硬膜下血腫の作成について
Production of Clinical Form of Clhronic Subdural Hematoma in the Experimental Animals
渡邊 學
1
,
島田 裕亘
1
,
石井 昌三
1
Satoru Watanabe
1
,
Hironobu Shimada
1
,
Shozo Ishii
1
1順天堂大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Juntcndo University School of Medicine
pp.387-396
発行日 1970年7月5日
Published Date 1970/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903144
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Ⅰ.緒言
硬膜下血腫のうちで被膜を有し,徐々にあるいは時に急速に進行する血腫(progressive chronic hematoma of the dura――Putnam19)),すなわち,いわゆる慢性硬膜下血腫は19世紀初から注目され,以来多数の報告があるが,その発生機序に関しては不明な点が数多く残されている。慢性硬膜下血腫の大多数が頭部外傷に基因して発生することは周知の事実であるが,頭部外傷とはなんら関係のない症例が多く存在することも事実である2,5,7,9,10,11,14,15,21)。しかしながら,この疾患が種々の原因で起る硬膜下出血に続発する病変であることは一般に信じられて来ている。
一般的にいえば,硬膜下腔に少量の血液が貯留してもそれは速やかに吸収されるのが普通である。ところが,ある限られた症例においてのみ被膜を有する進行性血腫が発生するのは何故であろうかという問題についてはなんら決定的な解答は与えられていない。
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