Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題—脳死をめぐつて
脳損傷と脳死についての基礎と臨床
Brain Injury and Brain Death
半田 肇
1
,
森 和夫
1
Hajime Handa
1
,
Kazuo Mori
1
1京都大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Kyoto University Medical School
pp.38-49
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903097
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I.緒言
「脳死」の定義を「脳死と脳波に関する委員会」では,大脳半球のみならず脳幹をも含めた脳全体の回復不可能な機能の喪失としているが,この定義について誰しも異論はないものと思われる。ただ問題は,この「脳死」の判定を何に求めるかということにある。自発呼吸の停止,痛み刺激に対する反応の消失,瞳孔散大,対光反射の消失,脳波の直線状平坦化,血圧低下などが脳死と判定する基準になることは明らかであるが,これらの所見はあくまでも総合的な指標であつて,このうちの一つあるいは二つで脳死と判定することは不可能な場合が少なくない。さらにこれら指標相互に必らずしも相関関係がなく,大脳半球の機能喪失の判定にきわめて重要な指標である脳波のflat化も,vital signsの変動と相関関係を示さないことが多い。
われわれは,この脳死判定の総合的な指標として,脳波のfiat化のほかに,緩電位(SPと略す)や電気impedance,あるいは三叉神経末梢刺激による誘発電位の変動などをも利用できないものか,その有用性について基礎ならびに臨床の両面より検討を加えてきた。なお,一時的に脳死に近い状態と考えられたが,その後長期間生存しえた一症例をも合わせて報告する。
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