1ページの知識 生化学
酸化還元法
永井 諄爾
1
1九大・中検
pp.765
発行日 1969年9月15日
Published Date 1969/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906522
- 有料閲覧
- 文献概要
前号で血清カルシウムの定量に関連して,キレート滴定法の原理を説明した.血清カルシウム定量の標準法として,現在なおClark-Collip法が生命をもっている.この方法はカルシウムをシュウ酸カルシウムとして沈殿させ,このカルシウム塩のシュウ酸を過マンガン酸カリウムで滴定し,酸化に清費された過マンガン酸カリウムの量からシュウ酸の量,したがってカルシウムの量を求めるのである.このように酸化剤を使って滴定する方法は,同じ滴定であるにしても中和法とは反応様式が違う.中和法では分子,イオンまたは原子団の原子価に変化が起こらないが,酸化剤で滴定するときは,原子の増減,すなわち原子価の変化が起こるのである.
酸化剤の標準液を使って滴定する方法を酸化滴定法と名づけるのに対し,還元剤の標準液を使って滴定する方法を還元滴定法という.しかし,原理は同じであるから,両者を合わせて酸化還元法と名づける.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.