特集 第1回神経病理懇話会
〔追加討論〕封入体の組織化学
浜田 晋
1
1松沢病院
pp.106-110
発行日 1960年10月30日
Published Date 1960/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901814
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材料は東大脳研の症例黒川で,大脳の広汎な部位の神経細胞及びグリア細胞の核内と胞体内にみられる封入体について,組織化学的方法により検討を加えたものである。ホルマリン固定後,パラフィン包埋切片を使用した。この結果を封入体と核小体と対比して第1表に示した。なお封入体には2種あり,核内と胞体内のものがそれであるが,両者の間には2,3その反応性を異にしているとはいえ,いずれも量的な差で,一応ここでは一まとめにしてある。
まずH. E. 染色では,封人体は好酸性が強く,特に胞体内の封入体はきれいなエオジン色をとつており,核内のものはそれにわずかにヘマトキシリン調を混えるものがある。これに対し,核小体は好塩基性が強い。また核封入体をもつ核全体の好塩基性が,低下しているものが多いようであるが,これは封入体形成になんらかの意味をもつものかもしれない。また封入体はNissl法でチオニンに染まらず,Cajalの金昇汞法で強く嗜銀性を示す。次に組織化学的方法についてであるが,第1に,封入体は目立つた核酸反応を示さない。Feulgen反応に陰性,methylgreen-pyronin法で,わずかにMethylgreen好性であるが,その特異性には問題があるので,そのままDNAの存在を主張するだけの根拠にはならぬと思う。
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