Japanese
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特集 脊髄血管障害例
脊椎管内の腫瘍と炎症/脊椎静脈系造影法
Inflammatory and tumorous conditions in the vertebral Canal
嶋 良宗
1
,
市川 宣恭
1
,
松井 善邦
1
,
河村 禎視
1
Yosimune Sima
1
,
Nobuyasu Itikawa
1
,
Yosikuni Matui
1
,
Sadami Kawamura
1
1大阪市立大学整形外科
pp.279-288
発行日 1960年1月1日
Published Date 1960/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901736
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まえがき
疼痛や運動知覚麻痺などの神経症状を主訴とする患者のうちで,臨床検査や各種「レ」線像などから確定的な診断を下し得なかつたものをとりあげ,そのうちの多数において髄液中にMenkin因子の存在を明らかにすることにより,これらの神経症状の重大な成因の1つとして髄腔内の炎症性病変を重視してきた。
炎症は間葉組織,とくに血管とその周囲を場としておこる催炎機序に対する防衛のあらわれといわれる。脊髄における血管は,その周囲の間葉組織が少なく,しかも豊富なる血管がある。そしてその本質的成分である神経細胞は再生機能を有しない点から,脊髄とその周囲の炎症の結果は当然に憂慮すべきである。循環障害のためにおこる前脊髄動脈症候群の原因の1つに,この炎症を考えるべきことはいうをまたない。そこで著者らは,まず催炎機序の不明な脊髄炎を主な対照とし,さらに腫瘍からの二次的炎症をも考えにいれてMenkinの炎症の立場から研究をなし,ついでこれに対する対策にいささかの知見を得た。一方にMenkin因子を成熟犬の硬膜内に注入して,脊髄およびその周囲の血管にみるべき病変を惹起し,前脊髄動脈症候群の成因につき,1つの検討を加えたのでここに報告する。
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