特集 第1回国際神経科学会展望・2
放射能の神経病理学
Webb Haymaker:Synthesis
白木 博次
pp.709-711
発行日 1958年4月30日
Published Date 1958/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901648
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以上いろいろの国の,さまざまの学者によつてなされたこれらの報告は,上は大気圏から下は地球上にまでひろがつているものである。ここでそのhighlightsいくつかをのべてみたい。
宇宙線:ここ数カ月以内に,最初の人工衛星がうちあげられるであろうが,そのときどんな障害が脳におこるか,まだなにもわかつていない。ここでYagodaのデータをもつとも簡明にいいあらわしてみると,100,000フィートあるいはそれ以上の高空では,脳内に終る鉄原子核は,組織内で幅約1/10マイクロン,長さ5mmの軌跡となつて,すくなくとも50,000レントゲンのエネルギーを放出するということができるであろう。この軌跡にそつておこるionizationのフィールドの幅は,しかし約5〜10マイクロンである。Yagodaは,100,000フィートに24時間以上滞在すれば,人脳には,6〜8のthindown trackがあたるものと計測している。Eugsterは,アルプスで宇宙線を測定した結果,理論的にいつて宇宙線粒子は大気圏を旅行する人脳に,障害性にはたらく点を指摘した。またかれは,Schaeferとのごく最近の共同研究によつて,太陽に黒点があらわれると,地球の高層では,その放射能が普段の10,000倍になること,つまり15〜20ミクレントゲンから100レントゲンにまでなるとのべた。
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