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特集 第1回国際神経科学会展望
神経病学に於ける意識
Sabina J.Strich:白質変性に起因する意識変状
Altered States of Consciousness due to White Matter Degeneration
亀山 正邦
pp.482-483
発行日 1958年2月28日
Published Date 1958/2/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901618
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交通事故で頭部外傷をうけ,数カ月後の死亡時に到るまで,除脳状態を示し,周囲に対して殆んど反応を示さなかった10例の神経系について病理解剖学的検索を行った。
7例では頭蓋骨骨折,頭蓋内血腫を見ず,又,頭蓋内圧亢進,腫浮腫を示す如き何等の臨床所見も得られなかつた。患者は始め意識消失状態にあったが,血圧,脈搏,呼吸は正常であり,角膜反射も保持されていた。患者は正常意識には恢復しなかった。第1例には他の例と同様始めの数週間,所謂脳幹発作或いは除脳発作を示した。発作時には除脳硬直を示し,血圧上昇,呼吸促迫,大量発汗及び唾液過多が認められた。神経学的徴候は初診時より死亡時まで不変で,四肢は痙性,僅かに右手のみが自動運動可能であつた。痛覚刺激には反応したが,他の詳細な知覚検査は出来なかつた。夜間眠り,昼間は覚醒し,単純な命令には従った。自ら吸う,嚥みこむ,等の動作は可能であったが,食車は勿論他の介助を要した。
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