Japanese
English
原著
臨床上進行性筋ヂストロフィーに極めて類似せる疾患—その症例及び考察
A. Report of a case, simulated clinically with progressive muscular dystrophy
茂在 敏司
1
,
吉田 尚
1
,
沖本 京子
1
,
石井 淳
1
,
香川 繁
1
1東大冲中内科
1Prof. Okinaka's clinic Tokyo University
pp.175-182
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901586
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緒言
進行性筋ヂストロフィーは1891年Erb1)によりその概念が明瞭に確立されて以来,Schultz,Jendrassik,Minkowski,Bing等多くの人々の研究によりかなり詳細な知識が得られており,我国に於ても呉,冲中2)3)等の輝やかしい業績がある。しかしごく稀にではあるが臨床家が多くの筋疾患を診察する場合,その中に進行性筋ヂストロフィーに極めて類似しながら,遺伝的素因を有しない,自然寛解を示す,或いは進行が余りにも急速である等,典型的な筋ヂストロフィーと異るニュアンスを感じさせる症例を見出だすことがある。従来このような例は非定型的進行性筋ヂストロフィーとして扱われる傾向にあつたと思われる。最近Shy及びMcEachern4)5)6)は閉経期に発病する進行性筋ヂストロフィー類似疾患の中にビタミンE,ACTH,Cortisoneの有効な例が存することを経験して閉経期筋ヂストロフィ(Menopausal muscular dystrophy)と名づけた。又Denny-Brown7)8)等は多発性筋炎が極めて慢性の経過をとる時,臨床的,病理組織学的に進行性筋ヂストロフィーと区別し得ない場合のあることを主張し,Shy等の閉経期筋ヂストロフィーもこの慢性多発性筋炎の中にいれて考えている。
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