Japanese
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脳の生理に関するシンポジウム 化学的現象を中心に
電撃痴呆における脳の化学的変化
Studies on the brain metabolism by electroshockdemeatia in dog
山田 禎一
1
T. Yamada
1
1金沢大学医学部精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kanazawa University
pp.152-164
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901583
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緒言
神経系の機能と代謝の関係を追究する研究は近年漸く盛んになつてきたが,長期間に亘る脳組織代謝の変動を機能との関連において取り扱つている研究は少く,現在最も未開の領域の一つといえる。ところが,精神医学の領域において我々が最も関心を持つているのは慢性に経過する精神異常がどのような代謝に支えられているかという課題である。といつても我々は勿論,精神異常を神経系の要素的な代謝過程の異常にすりかえるという危険を冒す意図は毫もないが,この課題に一歩でも近ずくべく,電撃痴呆における脳の化学的変化を取り上げたのである。電撃痴呆を特に選んだのは,これに関するいくつかの業績が既に教室から報告されており,我々が生化学的にこの課題を追求する上に好都合であつたからである。
電撃痴呆(Elektroschockdemenz ESD)とは頭部通電を行つて痙攣を重積することにより惹起されるsubchronicな大脳機能障害をいうのであるが,人間に頭部通電痙攣を反復施行すると,臨床的に1)先ず健忘,記銘障害,失見当という主要症状で象徴される健忘期に入る。
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