Japanese
English
脳の生理に関するシンポジウム 電気的現象を中心に
脳活動の微視的研究
Study on the Activity of Individual Central Neurones
内山 平一
1
H. Uchiyama
1
1東京医科歯科大学生理学教室
1Department of Physiology, Tokyo Medical and Dental University
pp.96-103
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901574
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
与えられた標題には,「微視的」と云う言葉が使はれているが,これは中枢を構成する単一神経細胞そのものの活動機構に必ずしも立入るわけではなく,単に超微小電極法を用いて記録した個別ニューロンの放電を示標として中枢活動の一面を見て行くと云う意味に取られたい。なお亦標題には「脳活動」となっているが,直接観察の対象となつている個々のニューロンに比べれば,脳は余りに大きく且複雑で到底広い範囲に亘つて論ずることはできない。ここでは中枢のうち,主として聴神経系に属する部位,特に聴領皮質に主点をおいて話しを進めることとする。(註)
ネコの聴神経系について,末梢から中枢え種々なレベルで個々の聴ニューロンの音刺激に対する電気的応答を記録していくと,単一ニューロンが応答できる刺激音波の周波数一強度範囲,即ち所謂response areaについて面白い事実が見出される。今参考として掲げる第1図は,田崎(1954)が確実な組織学的保証の下をこ,モルモットの第1次聴ニューロンで測定したresponse areaである。その形は高音側で切り立っており,低音側え緩い傾斜で閾値が上昇している。云いかえれば第1次ニューロンは,充分強い音の刺激に対しては,この切り立つた境界の周波数(所謂cut-off freqnency)以下の非常に広い音域で応答できることを意味している。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.